フェレットの前十字靭帯損傷

2009年11月16日
先日、他の先生より紹介してもらった症例をご紹介します。

前日より右後肢を引きずるとのことで来院。
食欲は正常、あまり動かないとのこと。
知り合いの獣医師から相談があり、その話ではプロプリオセプションが低下しており、歩様からも麻痺しているようだと話があり、犬猫同様の診察アプローチをお願いしました。
脊椎、脊髄疾患やフェレット特有の内臓疾患からのふらつき、ミンクアリューシャン病を除外する必要性を伝えました。

オーナー、獣医師双方からの希望があり、翌日診察したところ、確かに右後肢はやや力が入っていないようでしたが、歩様も支柱肢跛行であり、プロプリオセプションは左右共に不明瞭でしたが、触覚性踏み直り反射、ホッピングともに正常で神経学的な異常は感じませんでした。

触診にて膝関節の前後左右の不安定性、レントゲンでも脛骨前方変位があり、前十字靭帯断裂が疑われました。

犬においては外科手術が必要になる例が多いのですが、フェレットでは体重が軽いため保存的治療で症状が軽快する例が多いです。

その症例も初診時はステロイドが使われていたのですが、NSAIDsに変更し投与したところ日に日に良化し、現在では患肢も十分負重しており、正常時の80%くらいまで歩様は改善しました。
今後は変形性関節症の進行を抑えるためにNSAIDsの長期投与やヒアルロン酸、グルコサミンなどの投与を行う予定です。

フェレットにおいては正常例でもプロプリオセプションは不明瞭なことが多く、検査はしますが個人的にはあまり重要視していません。

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Comment
最近の記事だけですが…
読ませて頂きました。
獣医さんが書かれた記事ですので、正確な薬剤の情報(必要内で)と正確な解剖を把握されているため分かり易く感じました。
とはいえ、人間の解剖生理の資料しか持たない僕にとっては解釈が間違っているかもしれませんが。

それから、僕は以前がんセンターで看護師をしておりましたが、獣医さんで癌学会があるのは不思議ではありませんが、認定医制度があるとは知りませんでした。

ちなみに僕は整形外科病棟のキャリアがメインになるのですが、フェレットの様な小動物で前十字靭帯の損傷を診断するのは難しい気がしますが、それより驚いたのが治療です。
保存的療法においても、ステロイドやNSAID'sの様な炎症を抑えたり・痛みを抑える薬で治療で軽快していくとは驚きでした。
それと並行して変形性膝関節症の治療を行うのもフェレットの医療水準が自分が思っていた以上に高い事が分かりました。

今後も北海道での活動をご期待しております。

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