症例報告 「フェレットの慢性下痢」

2007年04月04日
過去の症例ですが、典型例だと思われるので掲載します。

6ヶ月齢、マーシャルフェレット、オス
2ヶ月前より慢性の下痢、食欲不振を主訴に他院を受診。
治療内容は不明。夏バテだと言われる。
改善が見られないとのことで当院を受診。

下痢(タール便)、食欲不振、削痩
血液検査にて低タンパク(TP4.6 Alb<1.0 A/G<0.27)
触診およびエコーにて腹腔内のリンパ節と思われるものがφ1cm大に腫大。
無麻酔にてFNAを行なうが脂肪のみしか採取できず。
便検査:著変なし
アリューシャン抗体価およびタンパク分画を外注。

明らかな閉塞像や腸管の肥厚像はエコーにて認められなかったが、バリウム検査も実施。
特に排出の遅延や閉塞像は認められず。

DDxとして増殖性腸疾患、IBD、リンパ腫、アリューシャン病を挙げる

入院にて静脈内点滴、クロラムフェニコール、ビタミン剤、H2ブロッカー、PPIなど整腸剤にて治療を行なう。
水和が行なわれると当日には食欲も改善したが、黒色~緑色便は変わらず。


*緑色便ということですぐにECEだという人が多い気がしますが、フェレットにおいて緑色便は胃腸運動亢進や胆肝系疾患などにおいてよく見られます。


4病日目にも黒色~緑色便が改善しないことおよびアリューシャン抗体価3倍(モノリス)およびポリクローナルガンモパシーから炎症性疾患、特にIBD、アリューシャン病を疑う。
本来なら試験開腹にて腸生検、リンパ節生検が望ましいが、この時点でもAlb1.2で癒合不全の危険性が高いため上記疾患を疑いプレドニゾロンを2mg/kg/dayにて投与。
翌日には通常便をするようになる。

退院し2mg/kg/dayから徐々に漸減すると1mg/kg/day以下にすると軟便を呈するため、メラトニン3mg/headも併用。
すると便の性状も改善し、最終的にはステロイドの休薬も可能にした。

最終的には確定診断までは至らなかったが体重も600gから1.3kgと著増しメラトニンのみで維持できているためアリューシャン病による慢性下痢と考えています。

フェレットにおいては生検が実施できず確定診断に至らない場合が多い。
その理由としてかなり状態が悪化するまで様子を見ていることが多いような気がします。(麻酔をかけるのはかわいそう、内科的に治療できないの?などという不理解や獣医師が試験開腹を決断するまでに時間がかかってしまう)
何でもかんでも確定診断をする必要性はありませんが、FNAで診断的意義のある結果が出なかったら必要であれば積極的に生検、試験開腹を行なう必要性があると思っています。
過去に、早急に開腹していれば診断もしくは予後が違っていたのにというのを何例も経験しています。

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Comment
はじめまして

本文中の『DDx』とは何の事でしょうか?
調べたのですが分かりませんでした。
教えていただければと思います
よろしくおねがいします
DDxとはカルテによく書きますが、Differential Diagnosis、つまり鑑別診断や除外診断という意味です。

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