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フェレットのインスリノーマ

2006年12月05日
□ フェレットの低血糖症の鑑別診断リスト
・インスリノーマ
・肝不全
・敗血症
・副腎機能低下症(アジソン)
・栄養不良
・腫瘍(犬においてインスリノーマの他に肝細胞癌、リンパ腫、血管肉腫、口腔内メラノーマ、肝細胞腫、多発性骨髄腫、平滑筋腫瘍、唾液腺腫瘍が報告されている)

フェレットにおけるインスリノーマは膵島のβ細胞の腫瘍・過形成であり、低血糖を起こす一般的な腫瘍のひとつである。
人のインスリノーマはほとんどが良性であるが、犬やフェレットではほとんどが癌です。
4歳からよくみられますが2歳での報告もあります。


□ 症状
よく見られるのは流涎、悪心、後肢のふらつき、ぼんやりと宙を見つめる、口をひっかく、何となく元気がない、食欲低下、筋の振戦、運動失調、傾眠傾向など
低血糖に起因する脳障害として痙攣、昏睡、不全麻痺、失明もみられる。

症状が持続的に起こる場合と食間や運動、興奮により引き起こされる場合がある。

慢性経過のフェレットでは長時間の低血糖でも症状が現れず、耐性があるように思われる。


□ 診断

生化学検査
・血糖値
通常は低下するが食餌との関係やストレスによる上昇などにより変動するため、インスリノーマの症例でも条件によっては正常値であることもある。
絶食後の血糖値測定が望ましいですが、低血糖発作に注意が必要です。
フェレットにおいては4~6時間の絶食時の血糖値70mg/dl以下ではインスリノーマの疑いがあります。

・血中インスリン濃度
フェレットの正常値の報告 35~250pmol/l(4.9~34.8μU/ml)33~311pmol/l(4.6~43.3μU/ml)
通常上昇するが、変動も大きく個体差もあるため正常値内のこともある。
インスリン/グルコース比(IGR)、修正インスリン/グルコース比(AIGR)比を計算して仮診断するのが通例ですが、最近、犬においてはインスリノーマの診断にはふさわしくないという意見もあり、血糖値が60以下の時のインスリン濃度が正常高値以上でインスリノーマと仮診断しています。

・肝酵素
低血糖による2次的な肝リピドーシスや転移などから上昇していることもある。


X線検査・超音波検査
フェレットではインスリノーマの肺転移は認められていません。
フェレットのインスリノーマは非常に小さいのでエコーで診断されることは稀ですが、転移を明らかにするためや併発する脾腫や副腎疾患の確認のためにも行ないます。

確定診断は膵臓の腫瘤の病理診断で行ないます。


□ 治療

外科手術
フェレットでは孤立性に腫瘍化している例は少なく、びまん性に浸潤していることが多い。
単独の腫瘤では膵結節切除術として鈍性剥離し摘出します。比較的容易にできます。
数箇所の腫瘤がある場合やびまん性のものは膵部分切除を行なう。

術前、術中、術後の2.5~5%グルコースを含む電解質輸液の静脈内点滴
血糖値のモニター
術後48時間の静脈内輸液
→合併症の予防に重要です

悪性のインスリノーマは腸間膜や大網に浸潤し、領域リンパ節(十二指腸、腸間膜、肝臓、脾臓)や肝臓にリンパ行性に転移する。

問題点としては多発すること、数mm以下の場合が多いため確認不可能な腫瘤の遺残が起こりえる、転移病巣のため術後も血糖値の上昇がみられない場合がある。
また膵臓の切除範囲によっては術後高血糖、糖尿病を発症することもあるが、通常は一過性であり2~3週間以内に正常値に戻る。

犬とは異なり術後の膵炎の発症などは稀です。
ほとんどの症例で術後数週間から数ヶ月で再発がみられる。
膵臓の結節を外科的切除したフェレットの平均生存期間は462日(14~1207日)との報告もあります。


内科治療
臨床徴候の維持は6ヶ月から1.5年
治療の目標は低血糖症状を予防することであり、血糖値を正常にすることではありません。

高タンパク、低炭水化物のものを頻回に与える。状態によってはシリンジなどでの給餌も必要となる。
強制給餌用としてはテクニケア、a/d、猫用リーナルケアなど。特に運動後や睡眠から覚醒後に給餌する。
グルコースの要求量を減らすために運動や興奮の制限。
単糖類、二糖類は急激な血糖値の上昇によりインスリン分泌を促すため避ける。
食餌でコントロールできない場合は投薬を行なう。

プレドニゾロン(0.5~2mg/kg BID)
第1選択薬
末梢組織によるブドウ糖の取り込みを阻害し、肝臓での糖新生を増加させることによる。

ジアゾキシド(5~30mg/kg BID)
海外または試薬として入手する。副作用は肝障害、嘔吐、下痢、食欲不振、骨髄抑制
膵臓のβ細胞からのインスリン放出を阻害、肝臓でのグリコーゲン分解と糖新生を促進、細胞のブドウ糖の取り込みを減少させる。

ストレプトゾシン
膵ランゲルハンス島を選択的に破壊。副作用:糖尿病、腎不全、骨髄抑制、肝毒性
犬においては利尿をかけながら500mg/m2の投与量で2時間以上かけて投与している報告もあるがまだまだ不明な点が多い。
フェレットにおける投与量は不明。

オクトレオチド(サンドスタチン)
持続型のソマトスタチン誘導体でインスリンの合成・分泌を阻害する。長期投与で不応となる。
犬では10~40μg/head or(1μg/kg)sc TID
犬での効果は十分に評価されていない。フェレットではほとんど報告がない。

以上、内科療法の問題点としては対症療法のため生涯の投与が必要、腫瘍の進行に伴い血糖値のコントロールが難しくなることです。


□ 予後
生存期間に関する予後不良の因子は弱齢、術前の高インスリン濃度、転移の存在です。

個人的には6歳以上、超音波検査などで転移病変が確認される、麻酔の危険性が高い症例には手術はあまり勧めていません。

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Comment
脳障害について
フェレットの脳障害を調べていたところ、
こちらのブログに出会いました。

実は友人のフェレット(1歳2ヶ月、オス)が
12月頃から次のような症状が出始め、病院では脳障害ではないかとの診断をされました

・食欲はあるけど自分で食べようとはしない
・特に水を自分で飲まなくなった
・ますます寝ていることが多くなる
・バトルもしなくなる
・トイレで排泄しようとするが、うまくトイレにはまらずはずし てしまう。または、トイレでふらついて排泄物の上に倒れてし まうので、体が汚れてしまう
・夢の中で歩いている夢でも見ているのか寝ながら前足を動かす
・寝ている時のビクンビクン!ボコンボコン!というような2種類 の動きは相変わらずある
・周りを見ようと首を動かすが、機敏な動きなく、立ったまま首 を動かせば、その反動でも倒れてしまう
・確実に目が見えていない様子
・とうとうケージには登っていかなくなったため、サークルで眠 る

病院での血液検査・エコー検査では

・血液検査でカルシウムの数値が高かった
 (生食に入っている骨を食べているからでしょう。特に問題あり ません。との事。)
・エコーで、腎臓にのう胞があるのがみつかった
 (生まれつき持っていたもので、ある一種の奇形でしょう。特に 問題ありません。との事。)
・レントゲンで、肺が白く映っていた
 (最近のものでなく、だいぶ前に肺炎を起こした時の跡です。激 しい運動をすると呼吸が苦しくなる事もあるとは思いますが、 普通に行動する分には何の問題もありませんから、あまり気に しなくて大丈夫です。との事。)

しかし、こちらのブログを見ますとインスリノーマでも似たような症状が出ているので
果たして脳障害なのか解らなくなりました。
MRIは近くの病院ではないため、確実な診断は出来ないのです。

現在、効果があるかどうかは解りませんが、ルンワン粒を与えているそうです。
症状が、だんだん悪くなってきている為、
今は、進行性の脳障害の疑いと診断されています。

脳障害の場合、効果的な治療法は無いととのことですが、レーザー治療で症状が改善されたという、知人の話もありますがどこまで信頼できるものか解りません。

何かアドバイスをいただけましたら、友人も私も幸いです。
年齢から考えてインスリノーマはまずないと思います。血液検査もされているようですし、その数値によって疑いがなければ除外していいかと思います。

腎臓の低エコー部がいわゆる腎嚢胞であれば今後嚢胞が巨大化し腎機能の低下が見られる可能性はあります。今現在の腎機能の目安を知るために血液検査、尿検査くらいは行なってもいいかもしれません。
これはエコーを見ていないのであくまで腎嚢胞ならということでコメントしていますのでご理解ください。

カルシウムの値は具体的な数値の提示がないので今この場では何とも言えません。

レントゲン上で肺が白いということに関しても肺のどの部分がどのように白いのかに関しても臨床的意義が異なりますので何とも言えません。

中枢神経症状を疑うのであればまずはジステンパー、アリューシャンの抗体価を測定する必要性はあると思います。
それと同時にあきらかに中枢病変を疑うのであれば、フェレットにおいてはMRIを撮っても判断しづらいことも多いですがMRIで原因を探らないと治療法は提示できないと思います。
つまり脳炎なのか脳出血なのか脳腫瘍なのかそれともその他なのか。
主治医の先生と相談した上で検査や治療を行なう必要性があるでしょう。
こんにちは。インスリノーマの手術を受けるかで悩んでおります。
今年6月で4歳の男の子です。異変に気づいて4月に病院で血液検査、レントゲンと検査をして頂き、インスリノーマと診断されました。
4/17 4/25 5/16
Alb:  3.4 3.8
Tp: 7.5 8.2
Glob: 4.1 4.4
Bun: 22.0 27.0
Cre: 0.8 0.5
AlT: 86 111
Alp: 61 40
Glu: 59 69 79
TCho: 142.0
Ca: 9.9 10.3

現在はステロイドを飲ませています。明細書にはPred散剤1gとなっています。これを2週間でお水で溶いてある分を最初は一日1滴でしたが、今は一日2滴上げています。お薬はウォルサムの免疫サポートに混ぜてあげています。これだけでとっても判断しにくいご相談だと思いますが、先生はどのように思われますか?


インスリノーマの疑いですね。
インスリン値を測定しても確定診断ではありませんが、個人的にはインスリン値をみてから試験開腹を行ないたいところです。

上のエントリーに書いてありますが外科治療も根治はできませんが、予後は少しよくなりますので4歳という年齢なら麻酔がハイリスクの症例でなければ他疾患除外も兼ねて試験開腹をお薦めしますが・・・担当の先生とよくご相談ください。
お忙しい中早速、お返事ありがとうございます。


手術を受けるの決定は、最悪の場合を考えて躊躇していました。

※膵臓の結節を外科的切除したフェレットの平均生存期間は462日(14~1207日)との報告もあります。

※臨床徴候の維持は6ヶ月から1.5年

この数字をどのように受け止めるかですが、当フェレットのQOLを落とさないで長く一緒に居たいと思って居ります。

まずは血中インスリン濃度 を調べていただいてそれから、かかりつけの先生と相談したいと思います。らぼ先生の助言でちょっとだけ、手術という選択も見えてきました。



こんにちは。
うちの子(オス6歳)もインスリノーマの疑いがあります。それでおうかがいしたいのですが、フェレットバイトの多用はやはりよくないのでしょうか?我が家ではトムリンのバイトが主で、その他メーカーも使う場合があります。最近購入したサンコーのものは、主原料の2番目にショ糖と書いてあります…。
その子は副腎疾患もあり、リュ-プリン注射をしていて、しかも右の腎臓が水腎?(エコーで膀胱のようにうつる)と他にも疾患をかかえています。AHCCとかお薬を与えるのに毎日少しずつバイトを使用しているのですが…。
なにかいい方法がありましたらお教えください。よろしくお願いいたします。
>manjiさん

”少量”のフェレットバイトがインスリノーマの子に悪いかどうかは難しいところではありますが、ウォルサムの高栄養サポートやカケシアのパウダーを薬と一緒に溶かしてシリンジで与えてみてはいかがでしょうか。
インスリノーマ 腫瘍について
こんばんわ。7歳のオスのフェレットですが、1年前にインスリノーマと診断されました。3ヶ月前に腫瘍が発見され、10日前に急にお腹が大きくなったのに気がつき病院で診察を受けました。今は、腰にかけての脱毛がひどく、歩くときも後ろ足をひきずって歩いています。腫瘍の場所もおそらく脾臓ではないかということです。今現在、お腹がパンパンに張っているのでとても心配です。腹水ということも考えられるのでしょうか?
> chiroruさん

おなかが大きくなっているということは、腹部臓器の腫大、巨大腫瘍、腹水などが考えられると思います。動物病院で診察を受けられることをおすすめします。
ジアゾキシドについて
我が家のフェレットが現在、インスリノーマ闘病中であり、ジアゾキシド(プレドニゾロン併用)を投薬していますが、あまり効果が感じられず、プレドニゾロン単剤の投薬に変更したいと考えてます。
ですがかかりつけの獣医さんは、ジアゾキシド投薬→プレドニゾロン単剤投薬への変更は通常しない、と仰って反対されます。
ジアゾキシド(プレドニゾロン併用)からプレドニゾロン単剤の投与へ変更することは、通常ないのでしょうか?
また、そのジアゾキシドの併用を止めてプレドニゾロンのみの投薬に変更するリスクについて、教えていただけないでしょうか。
田舎に住んでおり、これらについて詳しく知る先生がいなく、すがる思いでこちらのブログに記載させていただきました。
かかりつけの先生もジアゾキシドの取り扱いははじめてだとおっしゃっていました。
何卒、宜しくお願いします。
Re: ジアゾキシドについて
川崎様

詳しい状況がわかりませんので、あくまで一般的な説明になっておりますので
ご理解ご了承ください。

ステロイドとジアゾキシドを併用していたけれども、さまざまな理由により
(効果が感じられない、副作用、薬価が高いなど)ステロイドだけに戻すことはあります。
ただしステロイド単独では維持が困難になり、ジアゾキシドを併用している場合は
ステロイド単独に戻せば、やはり維持は困難になると思いますので
担当の先生とよくご相談していただいたほうがいいと思います。
お礼
お忙しいところ、ご回答いただきありがとうございます。

さまざまな事情はあると思いますが、ジアゾキシドからステロイドの単独使用に戻すことがあるとのお話を伺うことができ、今後の選択幅が広がったように感じます。

我が子の状態をよく見ながら、そのリスクについて、担当の先生と十分話し合ったうえで、今後の療法について決めたいと思います。どうもありがとうございました。

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