フェレットの後躯麻痺

2006年04月30日
鑑別診断リスト
・インスリノーマ
・感染症(アリューシャン病、ジステンパー)
・リンパ腫
・慢性疾患(慢性下痢、肝、腎不全、副腎疾患、心疾患)
・脊髄疾患
・骨、関節疾患
・中枢神経系疾患

フェレットの場合、筋骨格系や神経系の異常よりも消耗性疾患や感染症から後肢麻痺やふらつきを示すことが多い。
そのため臨床現場では臨床症状および簡単な神経系テスト、スクリーニングとして血液検査、単純X線検査、AD抗体検査を行い仮診断をすることが多い。
仮診断における治療に対して反応が悪い場合はCT、MRI、脊髄造影、骨髄穿刺が出来れば行い、不可能ならば定期的に血液検査、レントゲン撮影を行う。
経過を辿ることによってリンパ腫や多発性骨髄腫などを疑う所見が出てくることも稀にあるようです。

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フェレットの肥満細胞腫

2006年04月25日
フェレットでは皮膚に好発し良性の挙動をとる。主に体幹に発生し単独または多発性に発生し、丘疹状の腫瘤で脱毛や発赤がみられ、黒色の滲出性の痂皮があることが多い。
掻痒がみられるため掻いて自壊することも多いです。

まれではあるが内臓型肥満細胞腫は消化管、脾臓、肝臓などに発生し下痢や嘔吐などの消化器症状を引き起こし進行性の病態をとることがあります。

FNA
独立円形細胞が散在して採取される。
犬猫と異なり顆粒も明瞭ではなく細胞質が赤紫色に濃染してみられるか、淡明な細胞質の円形細胞としてみられる場合がある。

治療
外科的切除により予後良好。外科的切除に際しては念のため抗ヒスタミン剤の投与をする。
また、フェレットの皮膚肥満細胞腫は良性の挙動をとるため経験的にはステロイドの外用で治療することも多いです。ただし同じ部位に再発することも多いようです。

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フェレットの脾腫

2006年04月23日
脾臓の機能:造血機能、血球の破壊、血液の貯蔵機能

フェレットの脾腫の発生機序
・生理的
・髄外造血:骨髄の機能が低下した場合もしくは正常な個体でも行われることがある。
・鬱血:心疾患、肝疾患などによる門脈圧亢進
・過形成:感染や免疫介在性疾患
・脾炎
・腫瘍:原発腫瘍としてはリンパ腫が最も多い。インスリノーマなどの転移性腫瘍もよくみられる。血管肉腫、血管腫の報告もある。

フェレットの脾腫はヘリコバクター、消化管内異物、腸炎、上部気道感染症、歯牙疾患、心筋症、アリューシャン病、副腎疾患、インスリノーマ、リンパ腫などの腫瘍性疾患においても認められます。
脾腫自体の原因を鑑別診断することに意義がないことも多いですが、腫瘍性疾患との鑑別は早期に行う必要があります。

細胞診は出血性疾患が疑われる場合を除いて比較的安全な検査といえます。
脾臓における細胞診の意義は腫瘍性疾患との鑑別です。
フェレットでは高分化型リンパ腫の発生が多く、過形成との鑑別ができないことも多く、
脾臓のリンパ腫はリンパ芽球が単独で増加したもののみ診断可能です。
また、肝臓へ転移していることも多いので肝臓のFNAも診断の補助となります。

フェレットの脾臓の細胞診はおとなしい子を除いて鎮静下で行うほうがよいでしょう。
ブラインドもしくはエコーガイド下で24-26Gの針で針吸引を行います。
犬猫同様、複数個所から採材します。

脾臓の細胞診
正常な脾臓ではリンパ球、少数の好中球、形質細胞、マクロファージ、肥満細胞、血小板が混在してみられる。
髄外造血では赤芽球系(核は正円形、細胞質の好塩基性が強い)、骨髄球系(赤芽球やリンパ球系と比較して大きい)、巨核球系(非常に大型の細胞)が混在している。
過形成:小リンパ球が優勢だがマクロファージ、リンパ芽球(切れ込みのある核)や形質細胞の増加がよくみられる。
脾臓の細胞診の診断は臨床医には困難なことが多いので細胞診をみられる病理医に依頼するほうがいいでしょう。

脾腫に対するアプローチ
多くの場合、原発疾患による変化と考えられる。そのためインスリノーマ、副腎疾患、心筋症、消化管内異物、アリューシャン病など特徴的な疾患をまず除外し
腫瘍性疾患の疑いがないかどうかスクリーニング検査として血液検査、X-ray、Echo、細胞診を行う。
検査上、異常がなく臨床症状が脾腫以外になければ、経過観察とする。
経過観察中は脾臓の過度の腫大による不快感や脾臓の捻転、破裂などが起こりうる。
脾腫が顕著なときはリンパ腫も疑われるため、複数回の検査や脾臓摘出による病理学的検査を行う。

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臨床手技

2006年04月21日
□ 静脈採血
フェレットの採血は教科書的には容易と言われていますがエキゾチック専門の先生曰く、
無麻酔では困難であるとの話もありイソフルランの吸入やドミトールのIMなど鎮静下で行うこともあるようです。
経験的には慣れた保定者が一人いれば0.3-2.0mlくらいは末梢血管から採血可能です。採血部位としては通常はサフェナを使うのが適当と思われますが他には頚静脈、前大静脈、橈側皮静脈、尾静脈、最後の手段として爪から行えます。
また保定時に暴れる場合はフェレットバイトやニュートリカルなどを舐めさせながら行うと比較的採血しやすいです。
穿刺部位は犬猫に比べ血液が止まりづらいので2-3分間圧迫しておきます。

□ 静脈留置
教科書的にも専門の先生でも麻酔が必要と言われますが経験的にはよほど暴れる症例以外は無麻酔で静脈カテーテルを留置することはできます。主に橈側皮静脈、サフェナを使いますが留置が困難な場合は頚静脈に留置も行います。
輸液剤や速度などは犬猫に順じますが維持量としては75-100ml/kg/日と言われているようです。

□ 皮下補液
通常背側皮下に1回25-60ml補液することができます。

□ 輸血
フェレットの血液量は体重750-1000gで40-60mlといわれており、その10%までは安全に採取することができます。供血フェレットのサイズにもよりますが経験的には1回10mlほど輸血することが多いです。
フェレットでは血液型が認められていないためクロスマッチを行わなくても副作用の心配はありません。PCVが15%未満になるようであれば輸血を検討します。

# 私見
フェレットの診療においてフェレット特有の疾患についての知識はもちろん必要ですが採血や留置は必須の手技といってもいいでしょう。
レントゲンは何枚も撮影していても血液検査をおこなっていない病院もいまだに結構あります。
実際にやってみると採血手技自体はそれほど難しいわけではなく、慣れと保定者の問題だと思います。犬のサフェナみたいに血管が逃げることもありませんのでフェレットのほうが採血しやすいかもしれません。

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臨床検査 Part2

2006年04月20日
□ 心電図検査
フェレットではおとなしくしている時間が短いため実施が困難です。フェレットバイトを舐めさせたり、クリップの先にアル綿をつけるなどの工夫をします。測定時に頚部背側の皮膚をつまんでの保定は基本的には行いません。迷走神経に起因した不整脈の原因となります。

□ 超音波検査
無麻酔で行える非侵襲的検査の1つです。フェレットでは毛刈りが必要となることはまれです。犬猫では描出することが少ないですが副腎に関してエコーを行うことは非常に多いです。詳しい描出方法はエキゾチックペット研究会誌やVECを参考にしてください。

□ レントゲン検査
ぐったりしているフェレットでは一人で保定、撮影を行うことができますが通常は2人での撮影となります。読影については基本的には犬猫と同じですが各臓器のレントゲン上でのサイズ比較についてのデータは持ち合わせておりません。

□ 内視鏡検査
全身麻酔下による検査になります。食道、胃、十二指腸などの他、尿道や膀胱内を検査する尿道内視鏡なども犬猫に関しては利用されつつありますが、フェレットでは内径が細いため一般的なサイズのものは使用できません。

□ CT検査
□ MRI検査
フェレットで撮影したことはありませんが撮影機会があればテクニックなどを記載します。

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臨床検査 Part1

2006年04月19日
□ 一般身体検査
問診を含め、身体全体の視診・触診・聴診などによるチェックを行います。眼・外耳道・口腔内・皮膚・被毛・体表リンパ節・心肺音・四肢・関節・体重・体温のチェック等です。通常の診察では一通り全部行います。フェレットでは腹腔内臓器が他の動物に比べて触診が容易なため念入りに行います。ワクチン接種の時などに胃内異物、脾腫、腹腔内Massなどを偶然発見することもしばしばあります。

□ 血液学的検査
症状によって必要であればCBC・生化学検査・ウィルス検査・ホルモン測定等も行います。ホルモン測定に関しては検査機関がフェレットの標準値をもっているかどうかも問題となります。

□ 糞便検査
手技自体は犬猫と同じです。直接法と浮遊法、状況によっては菌分離、ズダン染色、ヨード染色などを行います。ルーチンとしては直接および浮遊法にてコクシジウム、ジアルジア、細菌叢の確認(カンジダの増殖など)を行います。

□ 尿検査
犬猫の一般臨床においてややもすると軽視されがちな検査ですがフェレットにおいても同様の傾向があると思われます。pHは6.5-7.5、尿比重は1.015-1.035。クレアチニンクリアランスなどのデータはあるようですが尿蛋白/クレアチニン比などの文献はあるのでしょうか?もちろん尿糖、ビリルビン、細菌、結晶、白血球、赤血球、上皮細胞などの有意な増加は臨床的にも意味を成します。

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Blogはじめました

2006年04月19日
初めて来て下さった方にわかりやすいように自己紹介を書いておこうと思います。
都内、埼玉、神奈川の病院を経て現在は北海道の動物病院に勤務しています。
日々の診療や学会、セミナー、文献などで学んだ事を何らかの形で残せればと思いブログを始めました。
主にフェレット、ウサギ、モルモットの病気、飼い方、動物学などになるとは思いますが、犬猫やその他げっ歯類に関しても記載するかもしれません。
同じ獣医師の方が見て役に立つ情報、そしてオーナーの方にも興味を持って頂けるように心掛けます。
更新する時間が取れない事も多いのですが、少しずつでも充実できるようにしたいと思います。よろしくお願いします。

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